■ 「貧血」のお話 | 更新日: 2007/11/21(水) |
乳幼児、学童、成人と貧血もさまざまですが、特に乳幼児の貧血についてのお話しです。貧血を来たす病気はさまざまですが、外来でもっともよく見かける、それでいてあまり症状として表面化しない貧血…「鉄欠乏性貧血」のお話しです。
そもそも人間の血液はなぜ赤いのか。一部の動物、みみずなんかはちょん切ると緑色の血液が出てくる。地球上で血液をもつ生物の血の色は赤と青の二つ。なぜか。
血液の働きはさまざまですが、そのうちの酸素を運ぶ機能、呼吸するにあたって酸素をいかに効率よく細胞に届けるか。その酸素を運搬するときにくっつけやすい物質、それが「鉄」と「銅」。赤い血を持つ動物は鉄を使い、青い血の動物は銅を使っているのです。だから血液の色に違いが出てくる。人間において、この鉄が不足してくると血液を造る機能が低下してきます。その結果「貧血」になります。貧血があると青白い顔になってきたり、遊んでる途中に息切れしたり、風邪引きやすかったりしてきます。
ではどうして鉄が不足してくるのか。もともと母乳には鉄分が少ないようです。それに加え、身体の急激な成長、食事性の摂取不足や吸収障害などが合わさることで不足してくると考えられています。
ならば摂取を良くして吸収されやすいようにしてあげれば自然によくなってくるはず。鉄分を多く含む食事、かつおなどの赤身の魚、大豆、レバー、いも類、海藻など。吸収を助けるためにビタミンCを多く含むもの、緑黄色野菜や果物などを食べさせる。また造血効果を上げるものに葉酸やビタミンB12があります。これらはレバーや牡蠣、チーズ、卵黄などにたくさん含まれています。
近年、鉄欠乏と乳児の精神発達遅延との関係が乳児栄養学のトピックスの一つとなっています。1980年代になって、乳児の精神運動発達と鉄欠乏の関係が注目されてきていることから、たかが貧血と見過ごせない状態なのです。 なかなか食事から十分な鉄分を摂取することは難しいようですが、日頃から気をつけてあげることのひとつとして覚えておいてください。
マルコポーロ2003年11月より |
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